7月21日(日)に静岡県のSOUND SHOWER ark 清水で開催されたcoldrainとAge Factoryの2マンイベントが9月にスペースシャワーTVにて60分の特別番組としてオンエアすることが発表されました。
このイベントは、“今”の日本の音楽シーンになくてはならない圧倒的存在感を誇るアーティストによる2マンイベントです。今までに札幌、福岡、名古屋、岡山、東京、大阪、仙台、新潟、広島、福島、金沢で実施されてきました。
このイベントで2017年3月にはvol.1~7までの全出演アーティストが集結した「LIVE HOLIC extra」を東京・新木場STUDIO COASTにて2DAYSにわたって開催されています。
2018年の1~2月には初の全国5都市を巡る全国ツアーを実施され、今年の3月にはイベントの5周年を記念し、過去の出演者が幕張メッセイベントホール2DAYS&大阪なんばHatchに集いました。
23回目となるこの静岡公演では、世界で活躍する圧倒的なパフォーマンスと世界レベルのサウンドで活躍するcoldrainと、若手ロックシーンの代表ともいえるAge Factoryによる共演が実現しました。
この2マンライブで“初競演”ということもあり、静岡のオーディエンスは熱狂し、大盛況となりました。
その様子が9月20日にスペースシャワーTVで特別番組としてオンエアすることが決まったのです。ライブに参加できたラッキーな人はもちろん、ライブに行けなかった人も、この圧倒的な熱量をテレビを通して感じてみてください!
以下は、その日のライブレポートになります。
<coldrainとAge Factory「LIVE HOLIC vol.23」ライブレポート>
日本最大の音楽専門チャンネル「スペースシャワーTV」と、KDDIとぴあが提供するエンタテインメント・サービス「uP!!!」が主催するこれまでにない2マンライヴシリーズ「uP!!!SPECIAL LIVE HOLIC」。
その第23回目となる公演が、coldrainとAge Factoryを迎えて静岡県・SOUND SHOWER ark清水にて開催された。
■Age Factory
まずギターのフィードバック一発、「奈良、Age Factoryよろしくね」と手短な挨拶から3人が爆音を重ね合わせたAge Factory。オープニングに鳴らされた『GOLD』には<Wow>のビッグコーラスが叩き込まれているが、もはや歌というよりは、絶叫と絶叫を重ねることで聴く側の絶叫まで引きずり出すようなものとして聴こえてくる。ただ獰猛なだけではない。オーディエンスの声とエモーションを巻き込んで己の歌の力にしていこうとする、異様なスケール感が音とパフォーマンスの両方にある。
さらに清水エイスケ(Vo, G)の獣のような叫びから、どシリとしたビートを歌が貫くハードコア『HUNGRY/猿』に雪崩れ込む。突き刺すような目でフロアを睨み、メンバーの音に応え、野太いヴォーカルをグングンと伸ばしていく清水。
『WORLD IS MINE』ではさらに3人の怒号による合気道が鋭く飛んでくる。ただ、その音から感じるのは無軌道な怒りや憤怒に任せたものかと言ったらそうではない。
「存在の証明。俺たちは正しいという証明、繰り返すだけさ」という言葉の通り、Age Factoryがパンク、オルタナティヴロック、USハードコアを食らい、爆音に託していくのは「攻撃」ではなく、社会の仕組みにも人の渦にも同調圧力にも、なににも属さずひとりの人間として日々を生きていくという意志ひとつだ。
だからこそ『see you in my dream』や『million』のように、生活の中にある大事なものと大事な人の存在を温かく包もうとする歌も同時に彼らの歌には表出する。
この日特に素晴らしかったのがその『million』で、叫びのような歌を大きな音の壁で守るようなアンサンブルに、ただ獰猛なだけではない彼らの音楽の本質が表れているように感じたのだ。彼らは、愛するものを守るために叫んでいる。
「俺らが新しい時代に行くための一歩」。
そう告げてから、新曲『CLOSE EYE』もプレイされた。ヘヴィなリズムがガシガシと曲を引っ張る中で、清水のトーキングブルースがじわじわと血走っていく。「2020年、もう形に意味はなくなり」――そんな言葉が聞こえた。
想像力を削ぎ落とされてただの形骸になった人間そのものから離れ、すべてを置き去りにして自分だけの日々を走れ、とアジテートする姿勢がソリッドな1曲に凝縮されていた。
『RIVER』では、<孤独であれ 人よ>という言葉が歌われるが、その末尾に清水は「行け!」と叫んだ。
清水はMCで「俺らを初めて観る人が多いんやろうけど、関係ない」と語っていたが、自分達はここにいる、お前もそこにいるのだと、生きて生きて生き続ける日々の証明をぶっ刺して行くだけ。文字通りのライヴである。
ラストに鳴らされた『TONBO』では、<もう帰ろうよ>という歌がステージ、フロアの両方から響き渡った。自分の日々に帰ろう、大事なもののために闘おう――そんな願いがここにはある。
この爆音、ラウドなライヴは、穏やかさを侵す喧騒を叩き潰すための切実な叫びだ。全てが迫真だった。
■coldrain
そして後攻でステージに立ったcoldrain。ひとりずつ順にステージに登壇し、最後にMasato(Vo.)がステージ中央に立った瞬間に巨大なコーラスが鳴り響いた。
オープニングは 『REVOLUTION』だ。<Oh Oh>のシンガロングに始まり、サビではさらにテンポをダウンして感情の沸点を“落とす”ことで表現する。
さらにトラップパートへとシームレスに接続する展開は、どこまでも個のエモーションと葛藤と厭世感を吐き出し己を浄化していこうとするcoldrainの本質を全部盛りしたような1曲だ。
そこから伝わってきたこと――たとえば彼らが掲げてきた「ラウドロック」という言葉は、日本のシーンにおいて様々なバンドを一括りにするラヴェルとして用いられた時期も長かった。
しかし音の跳躍と没落が激しく繰り返される楽曲が表すのは、生きていくことの喜びと絶望を行き来する心の摩擦、生きたいと死にたいが全く同じ心の中にある人間の割り切れなさを「心の喧騒」のまま吐き出していこうとする姿勢だ。美しいメロディが貫かれながらも、実際の楽曲としてはとにかく起伏が激しい。
そんな『FEED THE FIRE』が表すように、誰とも共有できぬ希望と混沌の行き来をそのまま吐き出すことのできる音楽がロックであり、彼らのラウドさなのだと実感するライヴである。
特に、美しいメロディ、空間を徹底的に切り裂く叫びをクルクルと行き来するMasatoのヴォーカルが、「歌」というよりも人間拡声器のようなデカさをもって響き渡ってくる。5音が重なった瞬間のスケール感をさらに飛び越えるように、歌も叫びも人に向かって一直線に突き刺さる。演奏の撚られ方、音と歌が呼応する気持ちよさ。グングンと音のスピード感が増していく。
一方、その中で親しみやすさを感じさせるのもcoldrainのライヴのいいところ。『Die tomorrow』ではMasatoがSugi(Gt,Cho)にマイクを預けて絶叫させる一幕があったのだが、マイクが顔に近すぎてSugiがまったく叫べず、Masatoに「馬鹿野郎」と言わんばかりにキックをお見舞い。
徹底的にソリッドなサウンドは日常とかけ離れたスケール感を湛えているが、その実は、上記したようにどこまでも人間臭い生き様そのもの。その中にある愛嬌や穏やかな表情もごく自然に解放できるようになってきたことが、ここ数年のcoldrainのライヴからは感じられる。
たとえば『ENVY』の瞬発力あるメロディも、『FATELESS』というアルバムにおいてバンド全員がMasatoの歌をさらに飛ばすための方法とサウンドを模索したことから生まれたものだ。ライヴも同様で、バンド5人それぞれが一点に向かって爆走して、歌って、時折笑顔を見せてお互いの心の目を合わせる気持ちよさに満ちている。
「(LIVE HOLICは今回で)23回目らしいです。coldrain呼ぶのに23回もかかるのかっていう。Age Factory、この前エイスケと出会って10秒くらいで2ショットの撮影させられて、5分くらいで対談させられて。そんなんできねえよっていう(笑)。あいつも変わってるじゃん。でも、音楽が心に響きました。ああいう声に生まれたかった。ああやって魂を削って音楽をやってるところが素晴らしいし、ジェラシーを感じてます。久々にヤバい後輩が出てきたなって」
Age Facoryへの敬意を語り、この日の意義を改めて示したMasato。彼が語った出会いの「雑さ」にも関わらず、全身全霊のライヴ一発で両者の間には距離はもうない。徹底的にラウドな音の交感で、ロックのカタルシスだけを高く高く昇らせていく空間が出来上がっている。
「バンドマンを信じられない空気感になってきたけど、関係ねえんだよ。ステージに立ってようが、立っていなかろうが、同じ人間です。裏切っちゃいけない。やってたことがちょっとした間違いで崩れることも実感しました。ステージの高さがあっても、それに慣れちゃいけない。どうか、今日みたいなライヴは当たり前じゃないって思ってください」(Masato)
今この一瞬に何を愛し、何と闘って歌うのか。大げさな言葉に聴こえるかもしれないが、ロックバンドはいつだってそのことに向き合って叫び、転がっていく。
そのことを自分自身で確認するような言葉でもあったのだろう。さらに5人はライヴのギアを上げ、『INSIDE OF ME』、『F.T.T.T』では2ビートを連打し、ピットに巨大なサークルが発生する。
たとえばcoldrainが登場した2000年代初頭は、ラウドミュージックと言えばメロディックパンクがライヴハウスを席巻していた。その中で、海外のポストハードコアと共鳴し、ライヴハウスシーンにおいてもオルタナティヴだった彼らの世代が生き抜くために消化したのであろう2ビートが、今や日本のラウドミュージックの試行錯誤と闘争の歴史をそのまま伝えるようですらある。
さらに前のMCでMasatoが「ヤバい後輩」と触れたように、日本のメインストリームや、画一化と同調の様相を呈するようになった日本のロックシーンに対するカウンターとしても位置付けられるAge Factoryまでもが、この爆音の中でひとつの線になっていくような感覚を覚える。
ただ安穏と生きていられる国ではなくなった日本の中で、ただただ己を己のまま貫くための闘争がそれぞれの形で表現されている2マンライヴなのだ。
本編ラストに鳴らされた『THE REVELATION』で、Masatoは「生きろ!」と叫んだ。Age Factoryの清水エイスケは<孤独であれ>と歌い、「行け!」と叫んだ。ただ真っ直ぐに、自分の思う自分のままで生きたい。自分の愛するものを愛して、優しくありたい。
そんな願いを貫こうとするほど世界の悪意や現実は壁となって立ちはだかる。己の人生を誇り高く掲げるために、世界の喧騒よりも激しく「黙れ」と叫ぶしかない心模様が、この2バンドの音楽に通底するものだ。
騒ぐ、楽しむ。それももちろんライヴという場所で許されること。しかしこの2バンドの音の中にあったのはそれ以上の、ロックバンドで鳴らす必然性と切実さそのものだった。
スペースシャワーTVではこのライブの模様を9月20日(金)22:00より60分の特別番組として放送するのでお見逃しなく。
(取材・文=矢島大地/撮影=AZUSA TAKADA)
このイベントの模様を9月にスペースシャワーTVで特別番組としてオンエア!
スペースシャワーTV 「uP!!!SPECIAL LIVE HOLIC vol.23 coldrain×Age Factory」
初回放送: 2019月9月20日(金)22:00~23:00 他
Age Factory『GOLD』
coldrain『FATELESS(初回限定盤)(2CD)』
coldrain『THE SIDE EFFECTS(初回限定盤)』
2019年8月28日発売
Ayasa@編集部
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